神奈川労連

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労働相談コラム

2017年7月5日

民主主義の実践場

東京のホテルでベッドメーキングの仕事をしている女性。部屋の鍵を見失った。弁償金600万円!は保険から支払われたというが、上司と二人で仕事をしているのに、自分だけ始末書を書かされ、ペナルティとして月5万円半年間賃金から差し引くという。保険から支払うのに弁償は考えられない。制裁として就業規則に規定されていたとしても10分の1を超えてはならない(労基法91条)。賃金から差し引くのも違法だ。納得いかないのも当然だろう。

 次の相談。警備会社で日給制で働いている。糖尿病で通院し、病院に行った後は薬で眠気が出るので休ませてほしいと言ったが、休むと仕事をくれない。そもそもどういう労働契約になっているのかも不明だという。

 別の相談。残業したら時間を申告する制度だというが、申告すると「調整して下さい」と言って返されると言う。「申告するな」と言う意味らしい。職場の組合に相談しても役に立たない。若い人たちが不満に思っている。

 いずれの相談も「まずは職場の仲間に相談して、労基署に相談・申告するなどやってみませんか。埒が明かない場合は一人でも入れる組合に入って交渉しませんか」と言ったが、いずれも返事はない。

 東京新聞で神戸女学院大学教授名誉教授の内田樹氏は次のように述べていた。
 「国民主権を廃絶すると明言している政党に半数以上の有権者が賛成し続けている」「日本人にはそもそも主権者という実感がない。だから国民主権を放棄することにも特段の痛みを感じない。現に、企業労働者たちは会社の経営方針の適否について発言する必要がないと思い込むに至っている」と。

 相当反語的だが真っ向から否定もしきれない。労働組合は労働者が主権者として成長する民主主義の実践場だと改めて思う。

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