9月5日、県社会保障推進協議会主催の「かながわ社会保障学校」が開催され、会場には69人が参加し、オンライン視聴を含めて100人超が参加しました。
学習講演として、「津久井やまゆり園殺傷事件から考える『人権としての社会保障』」と題して、鈴木靜さん(愛媛大学法文学部教授)が、愛媛からリモートで講演しました。
人間らしく生きるための権利
鈴木さんは、津久井やまゆり園殺傷事件、コロナ禍での高齢者・障害者らへの対応などに触れ、「人権、そのもっとも基礎となる生命権、健康権が侵害され、剥奪されていることを深刻に受け止めている」と述べ、人権は、憲法に保障された国民の権利なのに、「自己責任論」が強くなっていると警告しました。
人権と社会保障の歴史を踏まえれば、人権とは「人間らしく生きるための権利」と強調。人権は、国家が国民に対して保障するものであり、「たてまえ」ではない。「権利は闘うものの手にある」と、朝日訴訟原告の朝日茂さんの言葉を紹介しました。
原理原則をふまえて
人権を根底に据えているスウェーデンの老人福祉施設の状況や、国連がコロナ禍で加盟国のコロナ関連政策に人権保障の観点を求めていることが紹介されました。
最後に、津久井やまゆり園殺傷事件からの教訓とは、「人権と社会保障の歴史的展開をふまえ、人権としての社会保障の原理原則をふまえた社会保障制度の確立」が必要であり、「国連を中心にした国際動向をふまえた議論と行動が求められている」と結びました。
「もっと聴講したい分かりやすい講演でした。人権を社会保障と太く結びつける考え方を深めました」、「人権ということが揺らぎ岐路に立たされている状況をなんとしても変えていかねばという思いをいっそう強くしました」などの感想が多く寄せられました。
「人権」獲得の努力を積み重ね、権利保障を実質化していく、原理原則に基づいた運動の必要性を再確認できた講演でした。
闘いについての報告
講演後には、年金引き下げ違憲訴訟や生存権裁判についての争点になっていることなどの報告、また、保険医協会から「後期高齢者医療制度負担増ストップの闘い」が報告・提起されました。
国民の「人権としての社会保障制度」、「国民の生存権の確立」を高くかかげた運動を地域からすすめていくことを再確認する社会保障学校でした。