今年の最低賃金額についての審議が行われています。8月上旬には神奈川の最賃額も「答申」される予定です。神奈川労連は全国一律に今すぐ「1500円以上」の実現を求めてとりくみを進めています。
宣伝行動に27人
全労連が呼びかける最賃デーにあわせ、7月11日に27人が参加して桜木町駅での宣伝行動を実施。横断幕が注目され、ビラ・ティッシュが次々と受け取られていきました。
欧米では2~3千円の国・地域もあるなかで、日本が低い水準の最賃となっていることや、政府が示す「2020年代に平均1500円」という目標は物価上昇にみあわず遅すぎることなどをスピーチし、「今すぐ1500円を実現しよう」と呼びかけました。
また、お隣の韓国など世界では全国一律が普通であることを紹介し、全国バラバラの日本では最賃の高い首都圏などに若者が集中し、地方経済が衰退する要因になっており、全国一律制度の必要性も訴えました。
宣伝後には、最賃審議会の事務局である労働局賃金室を訪れ、要望書・意見書を提出しました。例年は数人での行動でしたが、今回は多くの労働者が関心を持っていることを示すため、18人が参加し20団体から提出を行いました。それぞれの組合や組合員の状況も踏まえた要望書となっており、とりくみの質を発展させています。
「1500円は頭にある」
神奈川労連の考えを最賃審議委員に届けること、各団体などの意見や状況を聞き意見交換することを目的に、審議委員の選出団体への要請を今年もとりくみました。
一昨年頃から、使用者側の委員を選出する経済団体からも「賃金や最賃を上げることは必要」という発言がされるようになっています。今年も同様の話しがあり、さらに政府の方針もあって「経営者の頭には1500円はあります」との話しもありました。
一致できない部分は、引き上げるスピードです。神奈川労連は「今すぐ」を求めていますが、「急な引き上げには対応できない」と抑制を求める意見もありました。
神奈川でも生計費調査を
一方で、「中小企業では労働者を確保することが最大の課題」という話しが各団体から聞かれ、「日本の賃金が低く、外国人労働者に来てもらうことも大変になっている」と実状も紹介されました。
行政による中小企業支援を強化する点でも概ね一致しています。「統計だけでなく、実態を把握して具体的な支援が必要」、「国や県、自治体はもっと密に連携を」など、神奈川労連としても同意できる話しがありました。
県弁護士会の役員からは、各地方で最低生計費調査がとりくまれていることを踏まえ、「神奈川でも調査の実施を検討して欲しい」との要望が寄せられました。
神奈川労連は、最低賃金額が改定される10月にも宣伝行動を予定します。さらに世論を広げて全国一律1500円以上を実現させましょう。
神奈川の最賃額推移
年 | 最賃額 | 引き上げ額 | 引き上げ率 |
2005 | 712 | 4 | 0.56% |
2006 | 717 | 5 | 0.70% |
2007 | 736 | 19 | 2.65% |
2008 | 766 | 30 | 4.08% |
2009 | 789 | 23 | 3.00% |
2010 | 818 | 29 | 3.68% |
2011 | 836 | 18 | 2.20% |
2012 | 849 | 13 | 1.56% |
2013 | 868 | 19 | 2.24% |
2014 | 887 | 19 | 2.19% |
2015 | 905 | 18 | 2.03% |
2016 | 930 | 25 | 2.77% |
2017 | 956 | 26 | 2.78% |
2018 | 983 | 27 | 2.82% |
2019 | 1011 | 28 | 2.84% |
2020 | 1012 | 1 | 0.01% |
2021 | 1040 | 28 | 2.77% |
2022 | 1071 | 31 | 2.98% |
2023 | 1112 | 41 | 3.83% |
2024 | 1162 | 50 | 4.50% |