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2015年10月19日

「大好評だった堤未果さんの講演」第43回中央社会保障学校

神奈川では初開催となった「中央社会保障学校」が、10月15日から3日間の日程で開かれました。初日に行なわれた、ジャーナリストの堤未果氏の講演をご紹介します。

8万ドル(約960万)でも自己破産!?

302-2 米国では医療や介護が市場化され、自分が購入した民間保険商品の範囲でしか治療を受けられないばかりか、保険会社が医師に治療方針を指示する驚くべき実態が報告されました。米国は年収8万ドルあっても医療費が払えずに自己破産する社会であり、加入する医療保険を扱う病院が100キロ先にしかなく目の前の病院にかかれずに妊婦が命を落とす社会です。オバマケアの施行で医療保険への加入が義務づけられ、病気でも保険に入れるようになりましたが、日本の公的医療保険とは違って民間保険です。堤氏は著書で米国の“皆保険制度”(オバマケア)の真のねらいは民間保険会社の儲け口の拡大にあると暴露しています。

 公的医療保険制度を土台とした社会保障としての日本の国民皆保険制度は珍しく、世界から「奇跡」と称えられています。堤氏は、日本で医療が市場化されようとしていることに強く警鐘を鳴らしました。

危ない危ないISD

 またTPPの本質が国民皆保険制度を崩壊させることだと鋭く指摘し、関税撤廃による国内産業への打撃以上に怖いのがISD条項(注)の存在だと発言。米国とFTA(自由貿易協定)を結ぶ韓国では米国企業に提訴され多額の賠償金支払いが続いたため、自ら「国内法を60以上も変えた」とアメリカ企業に食い物にされている韓国社会の実態を告発し、国民に知られていない「ISD条項」の問題をもっと拡散してほしいと訴えました。

 TPP交渉でがんばったかのような甘利大臣の発言にも触れ、「アメリカではISD条項よりも国内法が優先する。日本も他国もそのような仕組みになっていない」と厳しく批判。「国民皆保険制度がある限り米国の製薬会社は日本では勝てない」と明言し、米国企業から皆保険制度が非関税障壁とみなされ損害賠償を請求される恐れを指摘。TPPは皆保険制度崩壊が目的だと断言しました。

 参加者からは「米国の実態を聞き恐ろしくなった」、「命を商品にしてはならない」、「国民の無知と無関心からTPPで主権が奪われる」、「真実を知らないことは恐ろしい、多くの人に知らせたい」などの感想が寄せられました。

(注)ISD条項・・・「投資家対国家間の紛争解決条項」のことで、投資家や企業が相手国で不当な差別を受けた場合(非関税障壁とみなされる制度や法律など)に相手国政府を訴える賠償手続きを定めた条項。国際紛争解決センターに提訴するが、IMF傘下の組織であり一審制を取る。堤氏はその実態を告発し「一度も負けたことがないのはアメリカだけ」と指摘。

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