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2022年2月10日

大もうけ(内部留保)を賃上げに回せ

 今年も、かながわ産業労働調査センターの協力で、大企業の内部留保(溜め込み金)を調べ、大幅賃上げの正当性を明らかにする「ビクトリーマップ」を作成しました。今年の特徴を紹介します。

臨時雇用者が15万人減少

 今年の神奈川のビクトリーマップで対象としたのは、県内に500人以上の労働者のいる企業で、財務諸表の入手可能な100社です。

 21年3月決算等では、従業員数は全体で約2万人増加し約48万4千人となっています。一方で、平均臨時雇用者は約15万人減少し、約94万6千人になっています。コロナ禍による「非正規切り」が広がっているのが示されています。

 個別企業として5千人以上増やしているのは日立製作所、昭和電工、日本電信電話の3社で、他に6社が1千人以上増やしています(企業買収なども含む)。逆に、5千人以上削減しているのはパナソニックの約1万5千人を筆頭に、リコー、東芝、ブリジストン、キヤノンの5社です(企業売却なども含む)。他に11社が1千人以上減らしています。大規模な「黒字リストラ」、「常時リストラ」を強行してきた電機産業が目立ちます。

1兆4千億円の増加

 100社全体の内部留保は112兆8225億円で、コロナ禍にもかかわらず1年間に1兆4188億円(1.3%)も増やしています。従業員1人あたりでは20万円(0.9%)増やし2330万円、平均臨時雇用者を加えると63万円(3.3%)増で1949万円になっています(平均臨時雇用者が減少しているため1人あたりの増加額が多い)。内部留保を取り崩さずとも、当年度の積み増し分を賃金に回すだけで大幅引き上げできることがわかります。

 個別企業で年間に1千億円以上増やしたのは、ソニー、三菱銀行、パナソニックなど12社もありました。逆に1千億円以上減らしたのは、日本電信電話、東日本旅客鉄道、日産自動車、ブリジストン、三菱自動車の5社でした。全体で68社が内部留保を増やし、32社が減らしています。

 1人あたりの内部留保額の企業別は、左上表のとおり番付にしています。コンコルディア(横浜銀行)と三菱銀行は、1億円を超えています。3万円~5万円程度の賃上げなど、余裕しゃくしゃくで実施できるほどの積み上げです。

ばく大な株主配当

 経常利益は6業種で増、9業種で減と前年(4増11減)より回復しています。全体では前年比約1兆円の減少となっています。個別企業では赤字が20社、前年より減益は62社、同が1社、増益が37社で赤字企業が増えています。

 親会社単体での株主配当は、合計で前年比788億円減の2兆7800億円となっています。日本電信電話、三菱銀行、武田薬品工業、日本郵政、日立製作所の5社が1千億円以上配当し、無配は8社。配当を増やした企業は31社、前年と同じが23社、減らしたのが46社となっています。

 親会社分だけでも株主配当を全連結従業員に回せば、1人あたり57・4万円、平均臨時雇用者を加えても48万円支給できます。

たったの0.7%

 100社の労働者すべてに1万円賃上げ(ボーナスは夏冬で5か月)するためには、たった0・7%の内部留保を活用するだけで可能です。3万円でも2・1%にすぎません。平均臨時雇用者を加えても1万円なら0.9%、3万円なら2.7%です。

 仮に100社の県内労働者42万人(推計値)に1万円の賃上げを行えば、県内経済への波及効果・生産誘発額は総額453億円になります。県内全労働者519万人に1万円賃上げしたとすると、生産誘発額は総額約8千億円となります。3万円ならばそれぞれ3倍の額になります。

 労働者の賃上げをせず内部留保が膨れ上がっていくために、消費が増えずに経済の停滞が30年にも及んでいます。内部留保を大幅賃上げや下請け単価などの抜本的な引き上げに活用させるとともに、課税して社会保障の財源などにする運動が求められています。

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