2017年12月になっても相談が続いているが、職場に労働組合があればと思う以前に、「労働者意識」を持ってもらえるためにはどうしたらいいか、改めて考えさせられる相談が多かった。
パートで15年働いてきた女性。「コンビニが閉店するので退職を求められている」との相談。労働契約書はもらっていない、有給休暇は使ったことがないと言う。「これは解雇通告です。他の店舗を要求する、解雇予告手当を要求する。雇用保険の遡及適用など要求できることはあります」と一人でも入れる組合に入って交渉することを勧めたが、「長い間お世話になったので要求などできません」という返事。なぜ電話してきたの?
警備会社で働く警備員。「4月から他社へ出向させる話が出ていると警備長が言う。いきなり業務命令が出されるのではと従業員が不安に思っている。どうしたらいいか?」という相談。「具体的な提案をさせることなしに始まらないでしょう」と言ったものの、「警備長は動いてくれない」と言う。「一人でも入れる組合に入って交渉する方法を考えてみませんか?」との提案に、ようやく「みんなで相談してみます」と電話は切られたが、未だに返事はない。組合加入は遠い課題なのかもしれない。
日本の企業・働く職場には憲法(人権意識・契約思想)が通用しないと言われる。戦後、家庭や学校ではファシズムの土壌は解体されたが、企業は放免されたため封建的慣行を根強く残している。「闘う覚悟がありますか?」という問いだけではなかなか通用しない。まずは、労働組合についての理解を進めるための機会をつくることが必要だと感じている。
職場で話し合いもできず電話を掛けてくる「孤独な労働者」の悩みに答えるために、相談から解決まで伴走するしくみ、支援体制が求められていると思う。