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2017年9月5日

最賃時間額「956円」を答申 神奈川労連として「1000円以上」求め意義申し出

低賃金の重石

 神奈川地方最低賃金審議会は8月7日、今年度の最低賃金時間額について現在の「930円」から26円引き上げて、「956円」とする答申を出しました。中央最賃審議会から出された「目安」と同額の引き上げです。

 この答申は、最低賃金裁判の原告や、神奈川労連が結成以来求め続けている「少なくとも時間額1000円以上」に及ばないものです。

 2.8%程度の引き上げ率ですが、憲法25条が保障する「健康で文化的な生活」を実現するには程遠い時間額であり、逆に低賃金の重石となってワーキングプアや貧困を拡大する水準と言わざるを得ません。現に神奈川では最低賃金ギリギリで働く労働者が数十万にいることが、労働局の調査によっても明らかになっています。

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生保水準を下回ったまま

 審議会で配布されている資料では、最低賃金額が生活保護水準(若年単身者)を上回っているかのようなグラフが示され、当局はそのように説明しています。

 しかし、「最低賃金裁判」のなかで明らかになったのは、例え時間額1200円でフルタイム働いても、生活保護水準を下回るということであり、被告である国もこれを認めていることです。神奈川労連の試算では、生保水準を完全に上回るには、1500円程度が必要です。

 神奈川労連も指摘する「5つのごまかし」を正せば、今でもすべての都道府県で最賃額は生保水準を下回っています。これは最低賃金法・憲法に違反する状態です。

 さらに言えば、若年単身者の水準を上回れば良いわけではありません。国際労働機関であるILOは「労働者とその家族の生活を保障する」最低賃金を求めています。神奈川県弁護士会も「子どもを養育するひとり親家庭」の水準を上回るよう求めています。

 少なくとも「ただちに1000円以上」を実現し、時間額1500円をめざすことこそが、国が行うべきことです。

本末転倒な議論

 使用者からは近隣県との「競争」を問題視する意見があります。

 神奈川労連も地方間格差を広げる「47都道府県バラバラ最賃」は大問題であると考えていますが、この打開は、最低賃金が低い県こそを大幅に引き上げて解決すべきであり、高い都府県を抑制することは本末転倒です。

 そして、全国一律最低賃金制を確立することこそが根本的な問題解決になるものです。

韓国では100倍以上

 また、「中小企業は支払う能力がない」との意見も聞かれますが、諸外国の施策も参考に、実効性ある中小零細企業支援を行うことで、対応は可能です。

 実際、最低賃金を約16%引き上げることを決めた韓国では、あわせて約3千億円の中小企業支援策を同時に決めています。日本の最賃に関する支援予算が20億円程度であるのと比べ100倍以上です。

 8月3日には、最賃引き上げを求める国合庁前での行動をとりくみ、約60人が参加しアピールしました。ユーコープ労組では、2千人以上の仲間が職場や家庭でワッペンを貼って行動に参加しました。

神奈川労連では、最高裁での最賃裁判の勝利をめざすとともに、全国一律最賃制の確立を中心としたとりくみをさらに進めていくことにしています。

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