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ニュース・資料 最低賃金の取り組み

2017年8月10日

2017最賃改定答申の神奈川労連議長声明

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神奈川地方最低賃金審議会の

「26円引き上げ」956円改定答申について(声明)

本日、神奈川地方最低賃金審議会は、930円から26円引き上げ、10月1日から956円とする答申を出した。

今年も2.8%程度引上げられが、今の最低賃金は人たるに値する額ではなく、ワーキングプアを拡大し貧困に縛り付ける悪魔の鎖、憲法と最賃法違反の状態である。

日本の歴史上初めて「最低賃金時給1000円以上」を求める最低賃金裁判は横浜地裁に続き東京高裁でも「門前払い」の不当判決がされ、現在最高裁に上告手続きが行なわれている。

神奈川労働局長は、「すぐに最低賃金を1000円以上にしてほしい」という慎ましい原告たちや圧倒的多数の低賃金労働者の「時給1500円へ!」の声に正面から向き合い、神奈川地方最賃審議会の答申を差し戻し、少なくとも70円以上の引き上げを決断し、1000円以上とすることを強く求めるものである。

神奈川地方最低賃金審議会は、昨年今年と中央の目安どおりの引上げ額を答申した。この3年間の実態をみれば、26円の引上げの恩恵を受ける労働者は、県内労働者の約2割=約50~70万人にものぼるであろうことが予測される。この間の引上げは最低賃金ぎりぎりで働く労働者の「社会的賃上げ」を求める強い声と、労働組合などによる運動の成果である。

今年の審議会では、近隣の静岡・山梨との格差拡大を理由に神奈川の引上げ額抑制を使用者側が主張し最後まで26円の引上げに反対したようだが、本末転倒の暴論である。現行の最低賃金は、まず絶対額において生活できない「貧困最賃」である。時給1200円で働いても手取りの収入が月額の生活保護にも達していないことは最低賃金裁判で国も認めた事実である。神奈川県弁護士会も会長声明において、生活保護との「逆転現象は解消されておらず」、憲法25条の保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む」ことができるようになっていない、と幾多の根拠を挙げて厳しく指摘しているとおりである。まず、神奈川が率先して大幅な最低賃金の引き上げを断行すべきで、抑制など言語道断である。

私たちも地方間格差を広げる「47都道府県バラバラ最賃」は大問題であると認識するが、この打開は、最低賃金が低い県こそを大幅に引き上げて解決すべきであり、高い都府県を抑制して解決するものなどではない。そして、全国一律最低賃金制の確立こそが根本的な問題解決になるのである。

この点で、韓国文政権が、最低賃金2020年一万ウォン(約1000円もちろん全国一律)の公約実現にむけて2018年16.4%引上げ=753円実施を決断した事実を、日本政府は真剣に受け止めるべきである。最低賃金裁判勝利と最低賃金の大幅引き上げ実現、全国一律最低賃金制の確立のため今後も奮闘する決意である。

2017年8月7日

神奈川県労働組合総連合(神奈川労連)

議長  福田裕行

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