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2015年8月5日

危ない危ないマイナンバー(共通番号)制度

マイナンバー制度とは「社会保障・税番号制度」といい、年金番号、被保険者証番号など複数機関が持つ個人情報を照合し特定の個人を識別する制度です。個人や法人に特別な番号を付け、複数の情報を一元的に政府や市町村が管理します。15年10月から施行され、16年1月から制度の運用が開始されます。

個人には10月に市町村長から12桁の個人番号を記した「通知カード」が交付され、「個人番号カード」(写真付ICチップ)を希望する人は、顔写真を添えて申請します。16年1月以降に交付されますが、個人番号カードの取得は任意です。法人(団体等)には、国税庁長官が法人番号を通知します。

政府は、行政手続きが簡素化され国民の利便性が向上すると説明していますが、実際の国民のメリットはわずかで、行政にとっても事務量の数%と言われています。

一方、初期費用は約3千億円、維持費は年間数百億円もかかり、IT産業にとっては「3兆円市場」と言われ、巨額の儲けが見込めます。

また、DV被害を受けるなどで住民票を移さず転居した場合、住民票と現住所が一致しない人には番号通知が届かず、番号がなければ働くこともできずに困難な事態に追いやられる危険性があり、まさに弱者無視の制度です。

何に使われるか

個人番号の主な利用範囲は、①社会保障分野(年金給付事務、雇用保険・労災保険事務、医療や介護の保険給付や保険料徴収事務など)、②税制分野(確定申告や当局の内部事務)、③災害対策分野の3分野ですが、利用は際限なく拡大される危険があります。実際、まだ制度が始まっていないのに預金口座、特定健診情報、予防接種履歴を対象に加える法改定が国会で審議されています。

安倍首相は国民に普及するため健康保険証として使用可能にし、証券口座での納税手続きやパスポート取得にも広げるとして、公共サービスの効率化を進め成長戦略(企業の儲け口)の柱と位置づけています。

事業者には厳しい負担

ほとんどの事業者が関係すると思われるのは、社会保険関係や源泉徴収票への従業員等の個人番号の記載ですが、個人番号の管理や取扱いに係わる規程や手続き等の整備が必要となり、閲覧可能な社員の限定や暗号化などの対策と厳格な管理が求められます。事務負担、費用負担に加え担当者の精神的負担も計りしれません。

このように事業者は「プライバシー保護の対応」を果たさなければならず、罰則規定(懲役刑など)も適用されるため大きな負担となります。これらは、専従者を抱える労働組合にとっても同じです。

米国では犯罪が多発

マイナンバー制度は社会保障給付の抑制や徴税等の徴収強化を進めるために使われる恐れがあり、「民間利用」の名のもとに企業の儲け口として個人情報が利用されることも否定できません。

さらに重大なのは、資産状況、病歴、犯罪歴など個人情報の国家による一元管理に道を開くことも可能となり、労働組合などへの規制や弾圧にも使われる危険性を持つことです。実際、本人同意も裁判所の令状がなくても、公安調査庁や警察が個人情報を利用できる道を開きました。

個人情報の保護についても万全ではありません。民間利用を行っているアメリカでは番号制度を悪用した「なりすまし」が多発し社会問題化しており、被害額は年間5兆円にも及ぶと推計されています。

プライバシーの侵害や犯罪利用など取り返しがつかない事態を引き起こす前に、番号制度の施行は中止すべきです。

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