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2022年10月4日

『日通無期転換逃れ裁判』で不当判決

1日前に解雇

 日本通運川崎支店に有期雇用で勤務していた全川崎地域労働組合の組合員が、無期転換申込の権利が発生する1日前に雇止めされた事件。

 雇止めの撤回を求めて裁判で闘ってきましたが、9月14日に東京高裁において、大竹昭彦裁判長は原告の雇止めを有効とする不当判決を言い渡しました。原告の支援者ばかりで埋め尽くされた傍聴席から「不当判決だ!」「理由を説明しろ!」と怒りの声が次々と裁判長にむけられました。

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実態から目をそらす

 この事件は、最初の直接雇用契約時に『当社における最初の雇用契約開始日から通算して5年を超えて更新することはない』という、いわゆる「不更新条項」が忍び込まれていたことが特徴です。

 高裁審理のなかで原告側は、不更新条項には、労働者の雇用の安定をはかるという無期転換ルールの趣旨を否定して無期転換を阻止することに目的があったことを明らかにしてきました。

 しかし判決は、契約書に更新上限が記載されている形式面だけで判断し、非正規労働者のおかれた実態から目をそらしたものでした。

酷い判断

 酷いのは、判決文で「5年を超える反復更新を行わない限度で有期雇用を利用することは労働契約法18条によっても許容されている。被控訴人は法律上許容された範囲内で今後の雇用管理をするとの方針を示したもので、そのような雇用管理の在り方は、同条を潜脱するものとは言えないし、無期転換阻止のみを狙った雇止めには当たらない」と書かれている部分で、これは同条の立法時に政府が「望ましくない」とした手法を司法が認めたと言えます。

 裁判終了後に、東京高裁前で「不当判決を許さないぞ!」「最後まで闘うぞ!」などのシュプレヒコールがこだましました。

最高裁で判断を

 判決後、衆議院第二議員会館で報告集会が開かれました。

 原告は、「高裁判決は雇用契約書に書いてありさえすれば労働者は読んで理解したものとし、労働者の背景や立法趣旨をいっさい鑑みていない」との見解を述べ、また「こんな労働体系のもとでは労働者は働けない。素人が見てもおかしいところばかりの判決だと思う。最高裁で判断してもらいたい」と今後も闘い続ける決意を表明しました。

 出席した日本共産党の田村智子参議院議員は、「法成立過程を無視する許しがたい判断。これからも国会で問う」との決意を示しました。

 支援共闘会議・弁護団・原告は、「約4年間の闘争を支えられたご家族の労苦に敬意を表すると同時に、2000万人ともいわれる非正規労働者の権利の前進を求め、不当判決を乗り越えるために直ちに最高裁判所に上告をし、解決まで全力で闘い抜く決意である」との声明を発しました。

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