建設現場で働いていた労働者が、アスベストによって命や健康を奪われたことについて、本人や遺族が謝罪と補償を求めて闘っているのが建設アスベスト訴訟です。
8社に損害賠償
21年5月に国とメーカーを断罪する最高裁判決が出され、国は当時の菅首相が原告に直接謝罪し、被害者への給付金制度をつくりました。しかし、メーカーは謝罪も補償も頑なに拒み続けていることから、神奈川では3陣・4陣の裁判が継続してとりくまれています。
4月16日に3陣訴訟について、横浜地裁で判決が出され、ニチアスやA&Aなど8社に対し、総額1億2千万円弱の損害賠償の支払いを命じました。最高裁判決以降、各地の裁判の判決で確立されてきた判断手法に沿うものです。
一方で、屋外作業や解体作業に従事してアスベストに曝露し、被害を受けた原告の請求は棄却されました。3陣訴訟においても、専門家の意見書や新たな証拠などを提出しましたが、判決が判断を示さないまま最高裁判決を踏襲して、メーカーの損害賠償責任を認めなかったことは、事実と証拠に基づいて判断するべき裁判所の役割を放棄したものです。
「全員の救済を」
判決後の報告集会において、40年以上前から配管工として働いてきた原告は、「話をするだけで息苦しい状態。生きているうちにメーカーに謝罪させたい」と訴え。「夫はアスベストに殺された」と話す遺族原告は、「命の線引きをする判決は不当。全員が救済されなければ終われない。原告で団結してたたかっていく」と強調しました。
建設アスベスト訴訟をめぐっては、東京と大阪の高裁で和解案が示されおり、メーカーが応じるかが直近の最大の焦点になっています。全面解決にむけて引き続きの支援を呼びかけます。