神奈川労連

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労働相談コラム

2009年2月1日

解決に使える判例

「1か月業務命令で休め」、「出勤しても働く場所はない。通勤時間が長いところに異動しろ」。うつ病の通院治療をしている正社員のAさんから相談がありました。
1か月の業務命令の休職も有休と欠勤で休むほかはないとのこと。同じ病気で1年半前にすでに6か月の病気療養休暇をとっており、今回の休職では傷病手当金をもらえないのです。
生活にも困っており、異動させられれば通勤時間も長くなり仕事も変わるので働き続けられるか不安で、どうしたら良いかとネットで調べて電話相談をかけてきました。病気は、上司とのトラブルがもとでの職場での「いじめ」が原因とみられるもの。「今の仕事であれば続けられる。明日、出社命令がきているのでどうすればよいか」と切迫した状態での相談でした。
最近、治療を続けながら、職場の嫌がらせにも堪え、働き続けている人からの相談が多くなっています。Aさんには、出社して異動命令には「行政の相談センターに相談してから返事します」といって、すぐに承諾しないように伝え、行政の相談センターに事情を話して相談者への対応をつなぎました。会社は行政が介入してきたことで、今の仕事を続けることを承諾し、Aさんの事例は解決することができました。
こうした事例の解決に使える判例としては、片山組事件(最高裁1998年判決)があります。雇用契約で職種や業務の内容が特定されていない労働者が、病気などで従来担当していた業務ができなくなった場合における退職勧奨は、不法行為を構成すると判断された例で、使用者の労働者の健康に対する安全配慮義務に従い、労働者の能力等の諸条件に照らして職務配置の配慮が求められます。
今回のAさんの事例でこうした判決があることを勉強することができました。いつもこのように解決できるとは限りませんが、判決を知っていることは会社と交渉する際には心強いものです。
(八谷)

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