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2018年5月11日

働きすぎはゴメンだぜ!

 安倍政権は「働き方改革一括法案」を国会に提出しました。「働き方」と、あたかも労働者のためと装っていますが、実は、いかに労働者をこき使えるようにするかという内容です。法案のデタラメさ危険性についてポイントを紹介します。

ねつ造データ

 この法案をめぐっては、データのねつ造が明らかになっています。政権は当初、一括法案の目玉として「裁量労働制の拡大」を狙っていました。安倍首相は国会で、「一般の労働者よりも、裁量労働制で働く方の労働時間が短いというデータもある」と答弁し、法案を正当化していました。

 ところが、そのデータは上記のとおり、極めて問題のあるねつ造であることが発覚。安倍首相が答弁を撤回し、裁量労働制については法案から外して提案する事態となりました。

労働者にとって最悪

 大問題なのは、同じデータをもとに検討されてきた「高度プロフェッショナル制度」は法案に残っていることです。この制度は労働者にとって最悪の制度です。
 労働者が生まれた当初、労働時間の規制はなく、小さな子どもを含め14~16時間も働かさせることが当たり前でした。労働者は労働組合をつくり、常に労働時間短縮を闘い、今の8時間労働制を勝ちとってきました。

 ところが、高プロ制度は労働時間という規制をなくしてしまうものです。時間管理がないため、何時間働こうが「残業」はなく、残業代は払われません。24時間365日働かせることも可能になります。政府は「年収1千万円以上の専門職が対象だから、一般の労働者に影響はない」と言いますが、財界は「年収400万円まで要件緩和を」と言っており、いったん導入すれば要件が緩和されることは明白です。

 労働者・労働組合が闘いによって勝ちとってきた労働時間規制を無にし、労働者を奴隷状態にする法案です。絶対に許すことはできません。

過労死を容認するの?

 法案には残業時間の上限規制があります。方向性は神奈川労連も求めてきたものです。しかし、上限の内容は下図のように「月100時間未満、年間720時間(休日労働含めれば960時間)」というもので、『上限』の名に値しません。

 電通や新国立競技場などにおける悲惨な過労死・過労自殺を根絶するための法改正であるはずなのに、この上限では過労死を国が法律で容認するようなものです。過労死や過労自殺で大切な家族を失った遺族からも厳しい批判の声が出されています。

 神奈川労連は少なくとも、今の基準となっている「月45時間、年360時間」を上限にすべきと要求しています。

労働者がいなくなる

 雇用対策法の改悪も重大です。法の目的を、「労働生産性の向上」すなわち企業の儲けを大きくすることに大きく変えようとしています。

 さらに政府・財界は「雇用によらない働き方」を広げようとしています。フリーランスや個人請負で働く人が、すでに1千万人を超えていますが、こうした働き方を一般的にし、「労働者」をなくしていこうというものです。労働者でなければ、労働者を保護する労働法制の対象になりません。労働時間規制や安全配慮を考える必要がなくなります。各種保険の事業主負担もしなくて済みます。使用者にとっては楽園かもしれませんが、労働者にとっては地獄です。

 法案には、「同一労働差別賃金容認」なども含まれていますが、紙幅の関係で紹介できません。いずれにしても、法案の内容は労働者にとって百害あって一利なしです。一括法案を廃案に追い込み、労働者が本当に働きやすくなるルールの確立をめざしましょう。

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