神奈川労連

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トピックス

2016年7月4日

なくせ貧困、実現しよう憲法25条

生存権裁判

 生活保護費が最大で10%引き下げられたことに対し、生活保護を活用している当事者47人が「こんな削減は許せない、権利としての生活保護制度の拡充を」と求めて横浜地裁に訴えたのが「神奈川生存権裁判」です。全国各地でも同様の裁判が闘われています。

 第3回の裁判が6月27日に行われ、原告や支援者など約100人が参加しました。

 原告2人が生活実態について陳述しました。報告集会でも、陳述した原告が「夜中に家の近くの波打ち際まで行って、『このまま入っていったら水死体になるのかな』と考えたこともある」と苦しかった実情を語りました。

 もう1人の原告も「ガス料金が高いので引いていません。魚を焼いて食べたいのですがそれもできません」などと陳述しました。

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原告の裁判所での陳述(要旨)

 私は、数年前から生活保護を受けている者です。

 私には、肺がんを患っている兄がいました。危ない状態になったときは駆けつけたいと思っていたのですが、兄のいる実家は遠く、交通費が心配でした。そこで担当の方に、「交通費が出ますか」と聞いたのですが、「領収書を持って来たら出しますよ」と言われました。

 4年前、兄の入院先から危篤の電話が入りました。しかしその日は生活保護費支給日の前日でした。支給日の前日に、2万円も3万円も財布に入っているわけがありません。翌日朝早くに支給されたお金を引き出し、新幹線に飛び乗りました。たった一人の兄の死に目になんとしても会いたいと、祈るような気持ちでした。移動の途中に入ったメールで、私は祈りが届かなかったことを知りました。病院に着いたとき、兄の背中に触れると、まだ温かかったのを覚えています。

 葬儀が終わり、そこの市役所から私に5万円の慰労金が出ました。市役所の方は、「このお金は、あなたに市からあげるお金です。大変だったね」と言ってくれました。私は、職員に、「生活保護をもらっているのですが」と言いました。すると「担当の方と相談してください」と言われました。田舎から戻り、担当職員に相談しに行くと、いきなり「それは臨時収入だから、こちらにもらいます」と言われました。結局、私の口座に入金された金額は、8千円でした。通帳の上に、一粒の涙が落ちました。同じ国から出るお金なのに、片方は大変だったねと言い、片方は臨時収入だからと言って取り上げる。なんと無慈悲なことでしょうか。

 生活保護がもらえたから、私は自殺せずに生きてこられました。生活に困窮して追い詰められている人に、生活保護をもらうように働きかけたいと思います。憲法25条という権利を、大いに使いたいと思っています。決して屈することなく希望を持ち、強く生きていきたいです。

年金引き下げ違憲訴訟

 10年以上前の施策を理由にして、年金額を減額したことについて、「憲法に違反する」とし、255人の年金受給者が横浜地裁に提訴したのが「年金引き下げ違憲訴訟」です。
 全国の40を超える都道府県で、同じ趣旨の裁判がとりくまれています。

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裁判を受けさせない?

 ところが、そもそも裁判を受けさせないかのような事態が生まれています。

 被告国が「高裁のある裁判所で審理を行うこと」を求め、裁判所もそれを認めてしまう事態です。例えば、沖縄で提訴したものは、九州を管轄する高裁のある福岡で裁判をするということです。

 横浜での提訴も「東京地裁での審理」が国から申し立てられ、横浜地裁・東京高裁はこの不当な申立を認める判断を下しています。

 年金者組合県本部と原告は、憲法に定められた『裁判権』の保障を求め、最高裁に判断を求めています。

支援する会への入会を

 同時に、実質的な審理にむけて、7月15日に提訴1周年の「学習決起集会」を予定しています。黙っていれば、「マクロ経済スライド」によって、これから30年間、年金は削減し続けられます。現役世代や若者ほど大きな影響が出ます。自らの年金を守るとりくみとして、「支援する会」への入会などを呼びかけます。

最低賃金裁判

 最賃1000円以上の実現を求めた「最低賃金裁判」は、横浜地裁で極めて不当な判決が出されましたが、原告は屈せずに東京高裁に控訴し闘いを継続しています。

 これまでに2回、東京高裁前での宣伝と、全国の仲間からも寄せていただいている署名の提出、要請行動を実施しています。

訟廷管理官が要請に対応

 6月17日には、最賃中央行動にあわせて、独自の宣伝と要請を実施。原告の女性は「年金が低く、高齢になっても働かなければいけない。暑い屋外での清掃はたいへん。この状況を裁判官に理解してほしい」と訴えました。

 要請では、訟廷管理官2人が対応。原告や支援者から、実情を踏まえた最賃引き上げの必要性、原判決の問題点を話したことについてメモを取り、「裁判官に必ず伝える」と述べました。

 東京高裁での日程を調整していますが、9月に第1回の期日が入る予定です。

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「最低賃金裁判」原告の訴え

○40代の男性 スーパーの惣菜工場
 横浜地裁は、最低賃金ギリギリで働く多くの労働者の思いを踏みにじりました。東京高裁にはしっかり判断してもらいましょう。贅沢したいわけでもない、「せめて1000円の時給ならば」という、あまりにもささやかで、当たり前の生活者の訴えに耳を傾けてもらいたい。

○20代の男性 電子部品組み立て
 なんとしても時給を1000円以上に!このままでは一人暮らしも結婚も考えられず、夢も希望も持てず、未来が暗闇です。どうか私たちの健康で文化的な生活をする権利を奪わないでください。

○30代の女性 福祉事務所での事務
 時給が上がれば貧困も少なくなり、もっと良い社会になると思います。一つひとつの企業に任せていたら難しいことも、国や行政がルールとして定めていけば、実現できると思っています。

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