神奈川労連

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労働相談コラム

2015年5月7日

職場は労働法制改悪の実態が蔓延

Sさん(男・50代)は、パート労働契約で物流センターで食材の配送業務に就き、2013年にようやく正社員の扱いとなり、社会保険等の加入の手続きがされました。しかし、業務は長時間が続き、担当以外の配送、買い出しなど、次から次へと仕事量が増え、過重労働をこなしていましたが、残業・休日手当なども保障されていませんでした。それでもSさんに会社は2度にわたって、営業が悪いという理由で、月額基本給24万円を切り下げ、基本給22万5千円のみにしてきました。さらに半年後にはSさんの労働契約を何時間働いても1日9000円、残業代なしの社会保険・雇用保険等を適用させなくて済む「業務委託基本契約」に切り替えました。業務委託契約(個人事業主)になっても仕事の指示や出勤管理などは労働契約の時代と変わりません。毎日14時間におよぶ勤務でとうとう心身ともに異常をきたし会社に出勤できなくなり退職しました。

会社は、Sさんが業務委託契約途中で退職したから、「契約不履行だ」として請求した報酬すら支払いをしていませんでした。収入を閉ざされ身体の具合が悪く働けない上、保険証がなく病院にも行けず、家賃の支払いにも困っていました。早速、会社に交渉を申し入れ、残業代・休日出勤などの未払い賃金、不利益変更の差額支給を求めています。会社からはすでに未払賃金を払うなどの回答が寄せられています。

当面の生活が困窮していることから、「フードバンク」から食べ物の支援を受け、生活困窮字自立支援法(15年4月施行)に基づく住宅家賃補助の支給を受ける手続きを行っています。Sさんのような働き方でも、もし、「労働基準法等の一部改正する法律案」が国会で成立したら裁量労働制の範囲が拡大される恐れもあります。ドライバーも長時間・過密労働当たり前、残業代もなく、それができないのは辞めるしかない、辞めたら、生活困窮の道しかないことがこの事例からもよくわかります。

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